インターネットオークションの罠近頃急激に伸びている物の一つに、インターネット上での個人オークションがある。自分も3月頃から利用するようになったが、品物が多岐に及んでいて面白く、もちろん望遠鏡という言葉で検索をかけるとなかなか中古屋にも出ない物から明らかに押入れの肥やしを引っ張り出したとおぼしき物まで、数十件ヒットする。オークションなのでどうしても欲しいという人が複数いると、その品物は結構な値段がついてしまい、結局中古屋で買ったほうが安かったなんてことも結構あったりするので、中古価格の把握と品物を良く知っている事が、入札の最低条件となる。これを知らずになんとなく欲しいと、欲しい気持ちが先行しているような状況では、あとでとんだ駄物だったりしてガッカリということになる。一番怖いのが、写真でしか現品を見れないために、光学製品だとレンズのカビやヤケといった現象が判らなかったりする事で、後からアリャリャという事もあった。写真用品、特にカメラや交換レンズは中古店頭価格より高くなってしまっている物や、最初から高く付けて出品している物なども多いので、熱くならない様に重々注意している。2000年5月1日UP 久しぶりの皆既月食7月16日、久しぶりに皆既月食があった。皆既月食自体は天文年鑑や理科年表、さらには天文手帳など、天文現象を知らせてくれる資料では、日食ほど珍しくはなく、平均して数年に一度は日本でも見えるのだが、問題は起こる時間と天候である。前回は1997年9月17日の未明にあったのだが、見事に天候に邪魔され見えず、その前は、1993年の6月4日、これは時間としては見やすい夜9時ごろと記憶しているが見事に曇りというわけで、まともにじっくりと観たのは1978年3月24日までさかのぼってしまう。資料の上では数年毎に観ることが出来るとあるので、体調が悪かったり仕事で出張していたりと、天候以外でも観なかった時もあるかもしれないが、この1978年の皆既月食は、写真もカラーポジで撮影してあって、当時の記憶をその時の仲間や観測風景までよみがえらせてくれる。これを思うと、単なる天文現象の記録写真も撮影した本人にとっては、その裏側にたくさんの当時のエピソードなんかが写しこまれている、不思議なマイクロフィルムなんだと改めて見入ってしまった。さて今回の皆既月食では、月が地球の影の真中近くを通るため、皆既の中盤ではいつになく暗い月となって、その分辺りの星がよく見えてきた。前半は曇りがちだったが皆既後半から快晴となり、天頂付近には天の川も見えて、なかなかの風景である。今回は、1978年のように写真を撮らなかったのだが、その分皆既月食中の星空が暗いことを良い事に、星雲や星団など月があったら見にくい天体をいくつか観望した。これも月食の楽しみ方のひとつ、とは言っても月のない晩に見るのと見え方に変わりは無いのだが。あの時この天体見たなという、思い出にはなる。 2000年7月19日UP ハッブル変光星雲を見るこのところ晴れるとまずまずの透明度なので、ガイドブック片手にいろいろと観望を楽しんでいる。35cmの口径ともなると、愛用のガイドブックである「見ておもしろい 星雲・星団案内」(大野裕明著/誠文堂新光社)や「星雲星団ウオッチング」(浅田英夫著/地人書館)に載っているほとんどを見ることが出来てなかなか楽しい。しかしながら、ごく近くに強力な水銀灯がこちらを向いてドームをライトアップしてくれているような状況なので、系外星雲などの淡いものはなかなか難物である。見ていてインパクトもあり楽しいのが惑星状星雲や反射星雲で、最近では付近一円の写真に写っていることしか確認したことの無かったハッブル変光星雲を見てみたら、これが結構良く見えるので驚いた。三角形に広がった光芒は、ひとつの頂点にに明るい部分があり、良く見ると三角形の内部が不均一なのが判る。惑星を見るときに使う高倍率(325倍)広視界のアイピースで見ても十分良く見える。自宅での観望は、その厳しい光害環境ゆえに最新の干渉フィルターを使って出来るだけ人工光をカットしているが、そのため星に色が着いてしまい、本来の肉眼で見た星の色が無くなってしまっている。その点だけは残念なところで出来れば暗い空の元で同じ位の口径の望遠鏡を使って見比べてみたいと思っている。 2000年2月11日UP 人口増加と光害の関係人口が増加すれば、市街地も拡大し商業も盛んになる。従って夜間の広告看板の照明をはじめ、新興住宅地の街路灯など夜空を明るくする要因は増えてしまうのは想像できる事である。しかし、雪の降る田舎である北信濃一円は、減りこそすれさほど人口が増えていないのに、やはり夜空は確実に明るくなってくる。核家族化による世帯数の増加、これでもかの村おこし・町おこしのための街路灯、商魂たくましいコンビニエンスチェーン店の畑の中に燦然と輝く姿、誰も通らない深夜の斜張橋のライトアップなどなど、そこまでやらなくてもと思うものがたくさんあり、大都市に右習えの姿勢が地方自治や住んでいる住民にも強く、その土地らしさが薄れて行くように思われて仕方が無い。星を見ていると、目に飛び込んでくる地上の強烈な光源を見るたびに、そう思うのである。そういえば、千曲川の風景などを撮影しようと思っても、高速道路・生コン工場・新しい橋などがフレームに入ってしまい、なかなか苦労する。これとて20年もすれば、昔はこうだった・・という風景に変わるのだろうか。 2000年1月25日UP 木島隕石隕石の落下という話は、日本中あちこちで聞かれるが、当地にもひとつの話があり、実際に現物も残っている。私の家から10kmほど北へ行った所、飯山市木島に吉という地籍があり、そこに1906年6月15日午後8時40分に隕石が落下した。この隕石は2つ発見され、1つは280g、もう1つは49gとの事であるが、この小さい方は現在行き先不明との事。数年前に、この隕石をテーマに、北信濃ふるさとの森文化公園・創造館(長野県中野市)のプラネタリウム番組を制作するために、隕石を所有者より借り出してきた事があり、このとき現品を手で持ってみたが、見た目よりはずしっと重く、なるほどこれが隕鉄かと納得した。宇宙から降ってきた石・・・長い間宇宙空間をさまよっていた、タイムカプセル。 2000年1月20日UP 風景写真と天体写真風景写真と天体写真を融合した、星景写真と呼ばれる分野が天体写真ファンの間には存在する。天体写真のベテランの中には、この分野をひたすら追求している方々も多く、プロの方が出版された写真集も存在する。この種の写真、自分も少しかじっているので、その難しさと面白さについて少し触れてみることにしよう。星景写真には、風景写真に要求されるようなフレーミングのバランス・安定等の他に、このように撮影したらこう写っているはず・・という経験則が重要になってくる。これは、バルブ撮影による長時間露出のため、天体の動きや背景となる空の明るさの変化を予測し、あらかじめ星の軌跡の長さや背景のカブリ具合、地上の風景の写り具合、さらには夕焼け・朝焼けの進行具合を想定し、フィルムの種類・露出時間・絞り値を決定しなければならないからである。 実際にはこれがなかなか難しく、思った色に出ないとか予想以上にカブリがひどいなどということになり、人にお見せできる作品は私のレベルではなかなか得られないのが現実である。思惑通りに出来上がった作品は、なんとも言えない充実感がある。 カメラは主にペンタックス6×7を使っている。ファインダーで星が確認できるのは、ごく明るい1等星くらいなので、無理に一眼レフである必要は無いのだが、レンズが明るい事、星がきちんと点になる事、フィルムの平面性が長時間露出でも結構保たれている事などで、愛用者は多い。また、中古が豊富で安いことも自分にとっては重要な選択ポイントである。 北信濃は山あり川あり湖ありで、風景写真には事欠かない絶好の地である。これらを生かしてこれからもじっくりと撮影したいと思っている。 2000年1月18日UP |
大口径ドブソニアン同好会のメンバーが45センチ F5の巨大ドブソニアンを購入した。好天の夜、早速メンバーを集めてお披露目とあいなった。さすがに大きい。天頂付近を覗くときは接眼部が高く、脚立がぐらつくとちょっとっ怖い。しかし、志賀高原の中腹での観望は、近くに光源が無く、標高も1000m超えなのでさすがに星が良く見えるせいもあってか、今まで感じたことの無いすばらしい姿を見ることが出来た。例えば、M51の腕が巻いているなど。公共天文台では大体がカセグレンの長焦点なので、おのずと倍率も相当上がっていて、対象によってはあまり面白くなかったりするが、これは40mmの接眼レンズで約55倍と大変ありがたい倍率である。肉眼で見ることの素晴らしさを改めて感じた一夜であったが、ドブソニアンは大口径を暗い空へ運んで行けるところが実に良い。年齢と共に眼はいろいろと衰えて来るもの。眼がまともなうちに、それと体がこの巨体をセッティングする馬力のあるうちに、ぜひ持っておきたい大口径ドブソニアンである。 2002年5月3日UP 星空が戻ってきた今月に入り、以前ここで書いたビデオレンタル屋のライトアップ水銀灯の点灯時間が営業時間の短縮と共に少し早く消えるようになった。以前は深夜1時までだったのが、今は11時。これはめでたい。また、7月末でこれまた真正面のローソンが閉店。こればかりは朝まで煌煌と明かりを灯していたのだが今は真っ暗。それでも20年前と比べれば、水銀灯やら信号機やらが多くて光害のレベルは高いがだいぶマシになってきた。これも長引く不況のおかげかもしれない。さらに今度はこれまた直線で50m位の所にあるジャスコが移転する気配で、郊外に大きな店舗を建設中。ドーナツ化がこんな田舎でも確実に起こりつつある。人口はほとんど横ばいなのに、住宅地はだいぶ拡大したし。これらは決して素直に喜ぶべき事ではないのだが、街中にドームなど構えている輩にとってはちょっぴりうれしかったりもする。 ちなみに現在の状況だと透明度が良ければ夏〜秋の天の川は見えています。いつまで持つか、この状態。 2001年10月10日UP 五島プラネタリウム1957年、自分が生まれる前にこのプラネタリウムは華々しくオープンしたとのことであるが、ついにこの3月11日、その幕を閉じる事となったという情報がネットをかけまわり、ついで雑誌でも明らかになったのは1年半前のこと。思えばプラネタリウムの代名詞として、かつての天文少年のあこがれの的だった大きなプラネタリウムを一度見ようと中学生の頃友人らと上京し(誰かの親も同行したはず。)感動したこと、そして売店で読んでも判らない「天界」という学会誌を買った事を覚えている。その後約10年に1回のペースで足を運んで最後はつい先日、2月17日に出張がてらお別れに行った。さすがに機械物は消耗部品やりペア部品の供給などの問題で、これが滞るとその寿命となるのだが、これは良く続いた方である。昔はこんな事は無かったと思うが今ではエリアによって星の輝度がばらばらで、やたらに星の暗い領域があったり、1等星と2等星で明るさが完全に逆転していたりと、だいぶ疲れが出ている。それでも解説者の方は、巷の新しいプラネタリウムでの自動プログラム番組投影が主流となって、無くなり行く手動操作+生解説のお手本と言うべき流暢な話法で次々と星座を解説して行くのが、やはり観望会のとき生解説でプラネタリウムを投影している自分には、寂しさを感じさせる。 このプラネタリウムを見て、自分もやってみたいと思った天文少年は、数多くいたと思う。自分もその一人で、中学時代に天文クラブで学校祭の時に行なったプラネタリウムが、初の生解説投影となったが、これはまさに五島プラネタリウムにあこがれての事。このあと15年ほどして田舎の小都市にもプラネタリウムが出来、本格的な物を操作し、解説するようになったわけで、まさに自分のプラネタリウムの原点が五島プラネタリウムである。 出来れば新しい機械に換えて、継続してもらいたかった。ビルの建て替えにともなう廃止との事だが、民間企業の経営ではやはり無理なのか。光害の東京に星を灯し続けたプラネタリウム。東京の星が一つ消えた。 2001年3月7日UP 彗星と入浴剤変なタイトルだが、これは毎晩風呂の中で見れば見るほど似ているなと思う事である。入浴剤の中に、固形で泡を出しながら溶けて行く物をご存知だろうか。花王のバブなどがそれ。昨年の夏、リニア彗星1999S4というのがそこそこ明るく見えるというので、何回かドブソニアン望遠鏡やら双眼鏡やらを志賀高原へ持って行って観望した。彗星は太陽に近づいて行ってぐるっと回り、また離れて行って、多くは太陽系の遠くまで旅をして行くのだが、この彗星もそのようになって尾をたなびかせて太陽から遠ざかって行く物と思いきや、なぜかうんと薄っすらとしか見えない。数日前まできれいに光っていた本体(核)が見えないのである。その後の発表ではなんとその頃分裂して消滅してしまったと言うではないか。ハレー彗星の時、探査機が詳しく調べて、彗星は汚れた雪だるまであるという事だったが、太陽に近くなると、雪だるまが蒸発してそれが尾となって見えるわけで、だんだん小さくなる事は避けられない運命であるらしい。 風呂に入って、バブが解けて行き、最後にうんと小さくなりながらも泡を出し続けやがては消滅してしまう様が、このリニア彗星の最後に似ていて宇宙空間の小天体といえどもその最後を目の当たりにした事を思い出すのである。 2001年2月25日UP 光害カットフィルター光害がひどくなってくると、口径を大きくしてより暗い天体まで見てやろう・写してやろうというもくろみが、その口径ゆえに夜空の背景光までたくさん集め、結果的にはバックが明るくて淡い天体が見えないという結果になる。光害の原因は人工的照明なので、その種類によっては特定の波長で光っている。例えばナトリウムランプなどは、単一波長でオレンジ色に光るし、水銀灯もいくつかの波長が合成されて緑〜青白く見える。この波長をピンポイントで透過させなくしたフィルターが出来ない物かと、20年ほど昔、光学会社にいたときに考えた事があったが、多層膜フィルターが専門ではなかったのでけっこう大変だろうなといった程度で考えるのをやめてしまった。ところがである、昨年これをほぼ実現した市販の光害カットフィルターが発売された。トーカイという光学素子の会社であるが、じつは仕事上この会社とは今でも付き合いがあったりする。多層膜をやっている部署との付き合いは無いので、このような物を研究しているとは全く知り得なかったので、出てきてからびっくりした。早速発売元から一枚購入、C14の接眼部に付けて見ると、見える見える・・フィルター無しではかすかに見えるかどうかといった淡い天体が見えてくる。光害の特性上、緑色の波長付近がだいぶ間引かれているので、白い星がやや紫っぽくなるが、今まで他社から出ていた緑色をドドーンとカットしてしまうタイプの光害カットフィルターよりは数段良い。長時間露光の系外星雲や球状星団の直焦点撮影にも使ってみたが、やはり緑色が落ち気味のようで、スキャナーでスキャンしてパソコン上で色補正などすると、なかなか良い出来となる。これは最近の画期的製品の一つと言える物で、光害地での観望には是非お勧めしたい。普通のフィルターよりはだいぶ高価だが、それだけの事はあります。 2000年6月6日UP |